キャリアアップ助成金とは

キャリアアップ助成金は、有期雇用労働者や短時間労働者などの非正規雇用労働者が企業内でキャリアアップし、正社員転換や待遇改善を行う企業を支援する制度です。非正規雇用から正規雇用への転換を促進し、働き方改革を推進する目的で設けられています。

 令和7年度(2025年度)のキャリアアップ助成金「正社員化コース」に関する重要な変更点と、助成額が減額された背景、さらに企業がこの制度に参加するための具体的な手順について解説します。助成金制度の活用をご検討中の企業様はぜひ参考にしてください。

(1)令和7年度の主な変更点
1. 支給額の引き下げ

 令和7年度から、「正社員化コース」の助成額が上記のように変更されました。
  ・有期雇用労働者から正社員:
   前年度は最大80万円でしたが、重点支援対象者以外の場合は40万円に減額。
  ・無期雇用雇用老奏者から正社員:
   前年度は最大40万円でしたが、重点支援対象者以外の場合は20万円に減額。
 ただし、「重点支援対象者」に該当する場合は従来通り最大80万円(2期分)が支給されます。
(重点支援対象者)
 以下のいずれかに該当する場合、「重点支援対象者」として扱われます。
(ア)雇入れから3年以上経過した有期雇用労働者
   長期間勤務している非正規社員の正社員化を推進するため。
(イ)雇入れから3年未満で次の①②両方を満たす有期雇用労働者
   ①過去5年間に正規雇用であった期間が1年以下。
   ②過去1年間に正規雇用として雇用されていない。
(ウ)特定条件を満たす労働者
   - 派遣労働者
   - 母子家庭の母または父子家庭の父
   - 人材開発支援助成金の特定訓練修了後に正社員へ転換した労働者

2. 支給対象者の範囲変更
 新卒者など雇用開始から一定期間経過していない労働者は支給対象外となりました。
3. キャリアアップ計画書の簡素化
 申請手続きが簡素化され、「都道府県労働局長による認定」が不要になりました。これにより、企業側の負担軽減が期待されています。

(2)助成額減額の理由
 今回の助成額減額には以下の背景があります:
1. 限られた予算の効率的配分
 厚生労働省は、助成金制度全体の効率化を図るため、予算配分を見直し、重点対象者への支援を強化する方針を示しました。
 これにより、本当に支援が必要な労働者に助成金を集中させる方針が取られました。
2. 重点支援対象者への集中
 非正規雇用から正規雇用への転換をより効果的に促進するため、「重点支援対象者」を明確化し、高額な助成を維持しました。一方で、それ以外の一般的な対象者については助成額が引き下げられています。
3. 働き方改革との連携
 今回の改正は、持続的な賃上げや構造的な労働市場改革を推進する政策とも連携しています。このため、大部分の新卒者や短期間勤務の非正規労働者など、一部対象範囲が絞り込まれました。

(3)企業が「正社員化コース」に参加する具体的な手順
1. キャリアアップ計画書の作成・提出
 労働局またはハローワークに「キャリアアップ計画書」を提出します。
 計画書には、対象者や転換後の職務内容、賃金条件などを明記し、労働組合や労働者代表からの意見を反映させる必要があります。
2. 就業規則の改定(必要な場合)
 正社員化に関する規定がない場合は、就業規則や賃金規定を改定し、労働基準監督署へ届け出ます。
3. 正社員への転換
 就業規則などに基づき、有期雇用労働者や派遣労働者を正社員として転換します。
 転換後の賃金は正社員化前より3%以上増額する必要があります(賞与や退職金制度も適用)。
4. 賃金増額の維持
 正社員化後6か月間、増額した賃金を継続して支払います。
5. 助成金申請
 賃金支払い期間終了後、翌日から2か月以内に助成金申請書類を労働局へ提出します。
 必要書類には企業基本情報、雇用期間記録、トレーニングプログラム実施状況などが含まれます。
6. 審査・受給
 助成金申請後、厚生労働省による審査が行われます。審査通過後、助成金が支給されます。

(4)制度改正による影響と対応
 助成額が減少したことで、特に「雇入れから3年未満」の有期雇用労働者に対する支援が縮小しました。重点支援対象者への転換計画を立てることが重要です。

詳細は ⇒⇒⇒ キャリアアップ助成金(厚生労働省HP)

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