2025年12月25日、厚生労働省は「介護保険最新情報 Vol.1454」として、令和7年度介護分野の職員の賃上げ・職場環境改善支援事業の実施要領を発出しました。
本記事では、制度の概要とポイントをわかりやすく整理し、介護事業所が抑えるべき点を社労士の視点で解説します。
1. 事業の目的
本支援事業は、介護現場の人材確保・定着対策として、特に人手不足が深刻な介護分野で職員の賃金引上げや職場環境の改善を後押しすることを目的にしています。
背景には、介護業界の賃金が他産業に比べて低く、離職や採用難が続く状況があります。この支援策は、令和8年度の介護報酬改定を待たずに処遇改善を進めるための緊急的かつ重要な施策です。
2. 支援内容の概要
支援事業では、介護サービス事業所等に対して以下のような取組みを条件として、補助金等の支援が行われます:
●賃金改善
・基本給の引き上げ
・手当の改善
●職場環境改善
・業務負担軽減(ICT導入など)
・働きやすい体制づくり(設備改善・休暇制度見直し等)
●生産性向上
・ICT機器の導入や業務効率化の取り組みを評価
支援内容は単なる賃金アップだけでなく、職員の定着につながる多角的な改善策が含まれています。
3. 対象者と要件
本事業の対象は、「介護職員等処遇改善加算」を取得している介護サービス事業所・施設が中心です。
支援を受けるには以下の要件があります:
・賃上げ・改善計画の策定・報告
・補助金が賃金改善につながることの明示
・補助対象支出の適正な運用管理
補助金の交付申請は、各都道府県を通じて行われます。
4. 事業者の視点での注目点
🔹 計画書作成は社労士の支援が効果的
計画書には賃金改善の根拠や職場環境改善の方針・数値目標を明確にする必要があるため、社労士に
よる支援・確認が効果的です。
🔹 ICT導入や業務効率化の具体化
単なる給与上昇だけでなく、生産性向上につながる取り組みを織り込むことで、支援額の増加や審査
の通過可能性を高められます。
🔹 加算・補助金の関係性
介護職員処遇改善加算との整合性を図ることも重要です。補助金を活用しつつ処遇改善加算の評価を
下げない設計がポイントになります。
5. 申請手順の全体像(一覧表)
本支援事業は、事前準備 → 申請 → 実施 → 実績報告という流れで進みます。
以下は一般的な申請フローの整理です(※詳細は各自治体の案内をご確認ください)。
| ステップ | 内容 | 実務上のポイント(社労士視点) |
|---|---|---|
| ① 制度内容の確認 | 介護保険最新情報Vol.1454・自治体通知の確認 | 対象事業所・対象職員・対象経費を正確に把握 |
| ② 賃金・職場環境改善計画の検討 | 賃上げ方法・改善内容を整理 | 処遇改善加算との整合性が重要 |
| ③ 計画書の作成 | 所定様式で計画書を作成 | 数値根拠・改善内容を具体的に記載 |
| ④ 交付申請 | 都道府県等へ申請 | 期限厳守・記載漏れに注意 |
| ⑤ 取組の実施 | 賃金引上げ・環境改善を実行 | 就業規則や賃金規程の見直しが必要な場合も |
| ⑥ 実績報告 | 実績報告書の提出 | 賃金台帳・支払記録の保存が必須 |
💡 ポイント
賃金改善を行う場合、「いつ・誰に・いくら支給したか」が後から確認できる体制を整えておくことが重要です。
6. 最後に
令和7年度の本支援事業は、介護事業所が職員の賃金・職場環境を改善し、人材確保・定着に結びつける重要な機会です。
計画書の策定・実行段階では、ぜひ社労士を含む専門家と連携し、制度の趣旨を最大限活かしてください。詳細につきましては、厚生労働省の「介護保険最新情報」PDF資料をご覧いただき、各自治体からの案内にも注意して対応を進めましょう。