令和6年の介護事業者の倒産件数が全国で172件(前年比40.9%増)に達し、介護保険制度発足以降最多を記録しました。「訪問介護」が過去最多の81件、「デイサービス」も過去2番目の56件、有料老人ホームも過去最多の18件と、いずれも増加した。この状況を受け、政府は「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」を令和6年11月22日閣議決定し、人手不足解消と職員定着を図るための包括的な取り組みとして、令和6年度補正予算に補助金の支給を盛り込みました。
また、令和7年介護職員等処遇改善加算の申請において特例措置も講じられます。
1. 補助金の支給(介護人材確保・職場環境改善等事業)補正予算806億円
●支給対象
(1)介護職員等処遇改善加算の取得事業所
(2)以下の職場環境改善等に向けた取組を行い、そのための計画を策定し
都道府県に提出する事業所
① 施設、居住サービス、多機能サービス、短期入所サービス等
→ 生産性向上推進体制加算の取得等に向けて、介護職員等の業務の洗い出し
棚卸しとその業務効率化など、改善方策の立案を行う
② 訪問、通所サービス等
→ 介護職員等の業務の洗い出し、棚卸しとその業務効率化など、改善方策立案を
行う
●支給額
常勤介護職員1人あたり約5.4万円の一時金に相当
●補助金の条件
– 生産性向上や職場環境改善に向けた具体的な取り組み計画の策定
– 計画の都道府県への提出
– 補助金交付後の実績報告書提出
2. 処遇改善加算取得促進のための要件弾力化
介護職員等処遇改善加算の取得要件が以下のように緩和されます。
– キャリアアップ要件の弾力化
– 職場環境等要件の弾力化
– 申請様式の簡素化(チェックリスト形式の導入)
これらの特例措置は第243回社会保障審議会介護給付費分科会(令和6年12月23日)にて示されました。詳細は明らかにされていませんが、2025年2月の申請受付分から適用開始される予定です。
尚、令和7年度の介護職員等処遇改善加算の取得に係る処遇改善計画書の提出期限については令和7年4月及び5月分を算定する場合は、同年4月15 日までに行うこととする予定で、令和7年6月以降の介護職員等処遇改善加算の申請については、通常どおり介護職員等処遇改善加算を算定する月の前々月の末日までに行うこととする予定となっています。